子どもに全財産を渡したい──でも配偶者の遺留分はどうなる?

Hand pointing to division of estate section in a last will and testament document on a desk

カテゴリ:遺言書・相続 | 愛知県一宮市の行政書士が解説


はじめに|「子どもに全部」は遺言書で実現できる?

「前妻との子に財産を残したい」「介護してくれた長男に全部譲りたい」──そんな思いで遺言書を書こうとしたとき、必ずぶつかるのが遺留分の問題です。

「遺言書 子どもに全財産」「配偶者 遺留分 子ども 全財産」などで検索してたどり着いた方に向けて、愛知県一宮市の行政書士がわかりやすく解説します。


遺留分とは?

遺留分とは、法定相続人に最低限保障された取り分のことです。遺言書で「全財産を子どもへ」と書いても、配偶者は遺留分を法的に請求できます。

配偶者の遺留分はいくら?

相続人の構成配偶者の法定相続分配偶者の遺留分
配偶者+子ども1/21/4
配偶者のみ11/2
配偶者+親2/31/3

つまり、配偶者と子どもがいる場合、配偶者には遺産全体の1/4が遺留分として保障されています。


具体例で考える

〔例〕遺産総額:4,000万円。相続人:配偶者・子ども2人

  • 遺言書に「全財産を子どもに」と書いた場合
  • 配偶者の遺留分 = 4,000万円 × 1/4 = 1,000万円
  • 子どもたちの遺留分 = 4,000万円 × 1/4 ÷ 2人 = 各500万円

遺言書があっても、配偶者は1,000万円を遺留分侵害額請求として子どもに請求できます。


「遺留分を侵害しない」設計のポイント

遺言書だけでは遺留分は消せません。しかし、以下の方法で対策することは可能です。

① 生命保険の活用 死亡保険金は原則として相続財産に含まれません。子どもを受取人に指定することで、遺留分の計算対象外の財産を渡せます。

② 生前贈与の活用 生前に子どもへ贈与しておく方法。ただし相続開始前10年以内の特別受益贈与は遺留分の計算に含まれる場合があります。

③ 遺留分の事前放棄(家庭裁判所の許可が必要) 相続開始前に、配偶者本人が家庭裁判所の許可を得て遺留分を放棄することも可能です。

④ 公正証書遺言+専門家による設計 遺留分を完全になくすことはできませんが、トラブルが起きにくい遺言内容に設計することで、実質的な争いを防ぐことができます。


よくある質問(FAQ)

Q. 配偶者の遺留分を無視して遺言書を書いても有効ですか? A. 遺言書自体は有効です。ただし配偶者は「遺留分侵害額請求」を子どもに対して行使できます。請求期限は侵害を知ったときから1年です。

Q. 再婚相手には遺留分がありますか? A. 法律上の配偶者であれば、再婚相手にも同様に遺留分があります。

Q. 子どもだけに全財産を渡す方法はありますか? A. 遺留分対策を組み合わせれば、配偶者への実質的な移転を最小限に抑えることは可能です。ただし、専門家との設計が不可欠です。


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